英会話教材 『Jump-Start!』
この記事は主に以下の方に向けて書かれています。
- TOEICの点数は高いが、英会話が苦手な方
- 『Jump-Start!』 に興味があり、口コミを確認したい方
この記事には以下の内容が書かれています。
- 『Jump-Start!』 の概要、レベルや、使用例を紹介しています
- 『Jump-Start!』に続く教材として、『ALL IN ONE TOEIC テスト 音速チャージ!』を使用してTOEIC900点台を取りましたので、使用例を簡単に紹介しています
『Jump-Start!』 との出会い
最近はじめた英会話教材、『Jump-Start!』をご紹介します。日経新聞の広告にもたまに出ているので、ご存知の方も多いかもしれません。
なぜこの教材を選んだかというと、この教材の音声教材(mp3ファイル)が無料(!)でダウンロードできると知ったためです。下記のサイトからさっそくダウンロードしたところ、無料とは思えないほど内容が良さそうだったので、結局書籍も購入しました。書籍を購入しても1000円と非常に安いです。
教材の紹介に入る前に、私の英語のレベルを書いておくと、私自身は、海外で暮らした経験や海外留学経験といった海外経験は全くありません。受験勉強でしか英語を使ってこなかった、典型的なドメスティック日本人です。海外出張も、前職時代に2度ほど行った程度ですが、海外出張に行く機会があった頃は、高いお金を払って英会話教室に通うとともに、TOEIC対策をして受験し、900点を超えるスコアを出したこともあります*1。それでも、「英語が喋れる」「英語ができる」という感触は結局得られず、ここ数年は英語から完全に遠ざかっていました。
ところが転職後、社内に外国人が増えたこともあって、英語の必要性を再度感じたため、今年の初めからオンライン英会話を開始しました。久しぶりの英会話で、相手の言っていることもあまり聞き取れず、かなりのストレスを感じていましたが、最近は少しずつ聞き取れるようになってきました*2。そこで、英語での発信力をもう少し鍛える必要があるな、とモチベーションが湧いていたタイミングで、この『Jump-Start!』に出会いました。
教材の概要
有名な英語教材として、瞬間英作文というトレーニングがあります。これは、日本語の文章を、即座に英語に訳すトレーニングを繰り返すことで、英語が喋れるようになる、というトレーニング法です。合理的ですし、やり込めば実際に喋れるようにもなると思うのですが、日本語→英語に瞬時に訳すのはかなり疲れる作業であり、私も以前少しだけやってみましたが、途中で諦めてしまいました。
この『Jump-Start!』も似たような発想の教材なのですが、著者は瞬間英作文とは似て非なるものとして、「瞬時英訳」と呼んでいます。具体的には、一つの文章全体ではなく、まずは文章の一部(単語もしくは節単位)で、日本語→英語に変換するトレーニングを行います。とても短い単位なので、これであればストレスはほとんどありません。
以下に、教材の紹介文を一部引用します。
「瞬間英作文」は、「日本文全体」を「英文全体」に置き換えます。ですから、頭の中で「高度な翻訳作業」を行う必要があり、大半の学習者はそれができないので(つまり、中学レベルの簡単な英文でも、高校レベル以上の文法力と語い力が必要になる)、「英作文」ではなく単なる「全文の丸暗記」になります。「全文の丸暗記」では、個々の単語も、そこに含まれる文法も、それらを合わせた英作文の力も、ほとんど身につきません。
これに対して、『Jump-Start!』は、英語の語順に従って、日本語を前から順番に小さく英語に置き換えていきます。前から順番に細かく英語に置き換えていく過程で、個々の英単語の意味、英語の語順、語と語の修飾関係が身につきます。そして、これは中学レベルの文法力しかなくても行えます。
例えば、「聞き流し」の教材は、以下のように音声が流れます。
例1(3日目より)
「彼女は・いない」 ⇒ " She is not "
「彼女の机のところに」 ⇒ " at her desk "
「彼女は席を外しています。」 ⇒ " She is not at her desk. "
例2(5日目より)
「でしょうか?・私は」 ⇒ " Do I "
「知っている・あなたを」 ⇒ " know you "
「以前お会いしていますか?」 ⇒ " Do I know you? "
このように、小さな単位で置き換えてから、全文を日本語→英語に置き換えるので、ストレスが小さくて続けやすいのです。もちろん慣れてきたら、日本語と英語の全文のみで構成された「瞬時英訳」用の音源など、複数の音声教材が提供されています*3。
また、この例で出した「彼女は席を外しています。」「以前お会いしていますか?」などの文章は、英語を見れば非常に簡単ですが、日本語から見ると、慣れていないと意外と即座に英語が出てこない文章です。このように、易しい英語を用いていろんな表現ができることを思い出させてくれる、そんな例文が揃っていると思います。
教材の内容(学習項目)
この本の副題は「英語は39日でうまくなる!」となっていますが、これは学習項目が39個あることを意味しています。1日1項目ずつ進めていくことが前提となっており、39項目の内容は、以下の通りです。中学英語のレベルとのことですが、基本的な英会話に必要な文法項目はほとんど網羅されているように思います(裏を返せば、英会話ができないのは、中学レベルの英語すら満足に使えていないということ)。
なお、これは私の感想ですが、7日目と9日目は特に難しいと感じました。最初の方の単元は簡単だ、と甘く見ていると痛い目を見るかもしれません。
- 命令文
- be動詞の肯定文
- be動詞の否定文
- be動詞の疑問文
- 一般動詞の文
- 三単現の文
- 否定疑問と付加疑問
- 現在形と現在進行形
- be動詞の過去形
- 一般動詞の過去形
- 現在完了形
- 現在完了進行形
- willとcan
- may、must、should
- 助動詞的な動詞句
- There / Here is...
- SVCの文
- SVO+前置詞句
- SVO'OとSVOC
- SVO (to)不定詞
- 受動態
- 副詞の疑問詞
- wh- の疑問文
- Wh- の疑問文 / 感嘆文
- How の疑問文 / 感嘆文
- 間接疑問文
- to 不定詞の名詞用法
- It...to 不定詞、疑問詞 to 不定詞
- to 不定詞の副詞 / 形容詞用法
- 動名詞
- 現在分詞
- 過去分詞
- that 節(名詞節)
- 関係代名詞
- 関係副詞
- 接続詞と副詞節
- 副詞節
- 比較級
- 最上級と原級比較
私自身の使い方
1日に1項目ずつ進めれば、39日で終わる、というコンセプトですが、一定の英語力があれば、39日かけてコツコツやる必要もないと思います。私は、「聞き流し」の音声教材を10日分ずつ(最後だけは9日分)4つのフォルダに分けて、1日に1つのフォルダを聞き流すことにしています*4。「聞き流し」は全部通すと106分になりますが、4つに分けると大体25~27分程度で終わりますので、朝の通勤時間を使うと十分聞き終えることができます。まだ始めたばかりですが、毎日続けることで、英語でのアウトプットが徐々にスムーズに行えるようになる感覚をすでに実感しています。
この教材は、BGMとして流して聞くだけではほとんど意味がありませんので、あくまで頭を集中させて、日本語→英語の言い換えを頭の中で能動的に行うことが必要です。そのためにも、集中力が持続する時間で行う必要がありますが、オンライン英会話のレッスン一コマも25分ですし、これくらいが英語に集中できるちょうどよい長さではないかと思っています。
「聞き流し」で英文がある程度耳になじんできたら、今度は机上で書籍を見ながら、制限時間内に英訳できるかどうかテストを行います*5。そうすると、苦手な英文がどれなのかが明確になりますので、うまく英訳できなかった苦手な英文のみをピックアップして「聞き流し」を繰り返し実践すると、効率的かつ効果的にレベルアップできると思います。私自身、自宅で少し(10分程度でも)時間があるときには、「聞き流し」済の例文について、書籍で瞬間英作文的な英訳の練習をしたり*6、例文の解説を読んだりして、定着を図るとともに、苦手な英文のみを集中して「聞き流し」するようにしています。
(追記)ある程度慣れてきた方へ
(この節は記事公開から約1年後に追記しています。)
『Jump-Start!』の例文は全部で395例文あります。上記の聞き流し+テストを行えば、短い人であれば1ヶ月程度でマスターできると思います。ゆっくりやっても数か月もあれば十分だと思います。
この例文をマスターすると、39日分の例文を、30分程度でテストできるようになるので、わずか30分で自分の脳を英語モードにすることができます。30分で中学英文法の全てを網羅的にしゃべる練習ができるというのはとても効果的です。
実は私は最近は英語学習熱が少し冷めてきて、『Jump-Start!』から離れていたのですが、久々にTOEICを受けようと思い立ち、勉強を再開しました。『Jump-Start!』の例文を一度はマスターしているので、再度テストを行ってすぐに口から出てくるように練習しています。そうすると、一気に英語モードに戻ることができます。オンライン英会話レッスンの直前などに行うと効果的だと思います。
また、『Jump-Start!』には「チョイ足し英語講座」として、本に書かれていない「+α」の情報を各単元ごとに5分程度の動画にまとめた教材がyoutubeにアップロードされています。非常に有用ですので、例文をマスターした方は是非こちらをご覧になることをおススメします。
なお、この追記を書いている2020年5月現在、残念ながらTOEICの試験は行われていないのですが、そう遠くないうちに再開されると思いますので、『Jump-Start!』の姉妹編にあたる『ALL IN ONE TOEIC テスト 音速チャージ!』を購入しました。これを耳から聞いてマスターして、あとはTOEICの過去問題集を少し解いてみてから、本番にトライしてみようと考えています。
(さらに追記)『音速チャージ』を使ってTOEICを受験しました
2020年11月、5年ぶりにTOEICを受験してみました。上の追記でも書きましたが、TOEIC対策として、『Jump-Start!』の次に『ALL IN ONE TOEIC テスト 音速チャージ!』(以下、音速チャージ)を用いてしばらく学習してみました。その結果、過去最高となる900点を超える得点を取ることが出来ました。そこで、『Jump-Start!』からTOEIC受験にステップアップする人の参考に、簡単に『音速チャージ』の活用方法を記載したいと思います。
ちなみに、学習開始時の私の英語のレベルや学習状況を簡単に紹介すると、以下の通りです。
海外留学や海外在住の経験は全くありません。
英語は学生時代から苦手でしたが、受験勉強のおかげで、文法だけは比較的得意です。
『Jump-Start!』に出てくる例文は、ほぼマスターしていました。
『音速チャージ』に載っている単語は、8割程度は元々知っていました。
仕事で英会話を使うことはほとんどありません。英語の読み書きはたまに必要となりますが、ほとんど機械翻訳を微修正して(つまり横着して)対応しています。
オンライン英会話を週に1~2回程度、細々と続けています。
TOEICの勉強には2ヶ月くらい費やしました。とは言え、主にやったことと言えば、片道30~40分程度の通勤時間を使って、『音速チャージ』の音声教材を聞きながら、教材を読んで内容を確認しただけです。その他、自宅で時間があるときには、TOEIC公式問題集を眺めて問題形式を確認し、気の向くままに問題を解いたりしていました*7。
音声教材には、「読み下し音声」「英語例文音声」の2つがあります。本当は、「読み下し音声」の日本語を聞いて、すぐに英語が思い浮かぶくらいまでやり込みたかったのですが、そのレベルを目指すには時間が足りないことに気付き、とりあえず「英語例文音声」を聞いて内容を理解できる、というレベルを目標としました。
実際の試験日までに、一応英文を聞いて意味は理解できる程度までは仕上げた、という感じで、やり込んだと言えるレベルには全く達しませんでしたが、それでも900点突破は十分可能でした。やはり、『音速チャージ』には、TOEICでよく出てくる(倒置や分詞構文など)少し癖のある構文の文章が例文中に練り込まれており、これを何度も繰り返し聞いているだけで、TOEICの英文が読みやすくなったのではないかと思います。
正直なところ、『音速チャージ』の例文は、『Jump-Start!』と比べると非常に難しく、取っ付きにくいです。『Jump-Start!』と同じ感覚で、例文の暗記をしようとすると、とてもハードルが高そうですが、繰り返し英語音声を聞いて、日本語の意味を理解できるようになるレベルを目標とすれば、そんなに難しくはありません。
私は、今回のTOEIC受験では、公式問題集を除けば、『音速チャージ』しか使いませんでした。『音速チャージ』の「はじめに」の最後に、『「この本でTOEICの準備勉強をしよう!」と決めたら、これだけに集中して最後までやり抜いてください』と書いてあり、これを実践しました。実際には、最後までやり抜けてもいないのですが、それでも想定レベルの「730点~860点」を十分に上回る点数を取れましたので、感謝しています。今後も、英語レベルのチェックのためにTOEICを受けることがあると思いますが、その際も『音速チャージ』で勉強(復習)したいと思います。
ちなみに、TOEIC受験を終えた今、当面は仕事で英語を使う予定もないため、英語の勉強としては、新たな知識をインプットするというより、簡単な英語をアウトプットする練習をしようと考えています。具体的には、以下の3冊セットの物語形式の参考書を使って勉強しているのですが、とても楽しいのでおススメです。
*1:一度900点超を取ってからは受けていません。いま受験したら、きっと700点も取れないでしょう。
*2:最初は相手がフィリピン人だから聞き取れないのだろう、などと思っていましたが(失礼!)、単純に私のリスニング能力が低すぎたことが原因だと気付きました。
*3:これらの音声だけであれば、無料で誰でもダウンロードできます。そのため、本当にお金をかけずに学習できるのですが、書籍を買うと全ての文章の詳細な解説がついていて勉強になるので、是非書籍も購入するべきでしょう。英文を耳から覚えた上で、これらの解説を読むと、さらに英語で表現できる幅が広がると思います。
*4:最初のうちはフォルダ内を順番に再生し、慣れてきたらランダム再生にしています。順番に再生すると、途中で中断した時に後半の項目がおろそかになってしまう可能性がありますが、ランダム再生にするとそのような懸念もなく、時間がない時でも気楽に聞き流すことができます。
*5:具体的には、スマートフォンのストップウォッチを使って、所定の制限時間内に英訳できるかどうかを確認します。十分に「聞き流し」を行って英文が身に付いていれば、少し慣れるだけでクリアできるようになると思います。
*6:一旦制限時間をクリアした後は、タイムトライアルとして度々ゲーム感覚で実施すると、結構楽しめるとともに、英文が長期記憶としてよく身に付くと思います。
*7:私の場合、自宅で2時間集中して公式問題集を解く、というのは集中力が続かずにとても無理ですので、「(極力急いで)小問を解いてみて、その都度解説を読んで確認する」といった方法を取りました。