過去20年間の日本経済(GDP)の推移をグラフで眺める(名目GDP編)


この記事は主に以下の方に向けて書かれています。

  • 世界経済における日本の立ち位置、日本と諸外国の経済力の現状をざっくり把握したい方

この記事には以下の内容が書かれています。

  • G7における1人当たり名目GDPを見ると、1995年時点では日本が圧倒的なトップでしたが、現在では米>>加独>英仏日>伊のイメージです
  • 国全体の名目GDPでは、米中が大きく躍進する中、日本は20年間ほとんど成長せず2位から3位に転落、4位のドイツもすぐ下に迫っています

先日、日本経済がなぜ成長してこなかったか、という内容のエントリーを書きました。

keiri.hatenablog.jp

このエントリーでは、過去の日本のGDP国内総生産)の推移を諸外国と比べることで、今現在の世界経済における日本の立ち位置をグラフで示してみたいと思います。GDPデータは総務省統計局のデータ(1995年~2016年)を利用しています。エクセル形式でデータがダウンロードでき、簡単にグラフを作ることができますので、興味のある方は是非試してみてください。

https://www.stat.go.jp/data/sekai/0116.htmlwww.stat.go.jp

以下、諸外国との比較になりますので、米ドル換算の名目GDPを使用します。GDPそのものについては、下記のエントリーでも簡単に解説していますので、合わせてご覧ください。

keiri.hatenablog.jp

1人当たりGDPの推移

G20EUを除く19か国)と世界平均の1人当たりGDP推移をグラフにしてみましたので、ご覧ください。一人当たりGDPは、大まかに言うと、各国の1人当たりの国民の豊かさを表していると考えられます。

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グラフを見るといろいろなことが読み取れます。

  • 1995年時点では、日本はG7の中でも圧倒的に高い1人当たり国内総生産を誇っていたが、2000年以降欧米諸国に追い抜かれ、今ではG7の中でも下位グループに属している(イタリアのおかげで何とか最下位にはなっていない)。G7内の序列は、米>>加独>英仏日>伊のイメージ

  • 1995年時点では、G7+オーストラリアの8か国と、それ以外のG20に属する11か国との間に、1人当たりGDPの水準に大きな差があった。全体的に差が縮まっている中で、韓国とサウジアラビアが大きく躍進しており、特に韓国はG7最下位のイタリアに肉薄している状況。

  • 1人当たりGDPで見ると、中国は大きく成長しているものの、まだ世界平均にも達していない状況であり、G7グループとは大きな差がある。

日本との比較をするために、日本を100%として、G20における上位10か国と世界平均について1人当たり名目GDPをプロットしたのが下図になります。

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これを見ると、残念ながら日本がどんどん諸外国に追い抜かれていった状況がよくわかります。。

ちなみに、韓国の1人当たり名目GDPは、1995年時点では日本の30%ほどだったのが、今では80%にも達しています。現在日韓関係が非常に悪化していますが、昔の感覚で韓国の経済力を甘く見ていると痛い目にあうかもしれません。

国全体のGDPの推移

次にG20EUを除く19か国)について、一人当たりではなく、国全体の名目GDPをグラフにしたのが下図になります。

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これを見ると、日本の低迷ぶりがより一層はっきりするとともに、ここ20年間の世界経済においてはアメリカの一人勝ち状態であり、中国がそれを激しく追い上げている状況が一目瞭然です。日本は米ドル換算の名目GDPでは過去20年間でまったく成長しておらず、すでにドイツに肉薄されていることがわかります。日本経済が順調に成長していれば、今の2倍くらいの経済規模になっていてもおかしくなかったのですが。。*1

1995年時点と、2016年時点の上位20か国の名目GDPを並べたのが下図になります。

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ふたつのグラフの形はよく似ていますが、大きな違いは2位が日本から中国に入れ替わっていることです。日本は第3位以下のその他集団の中に埋没しつつあります。

ちなみに、ここでは上位20か国を図示していますが、G20に入っていない国がいくつかあります。2016年時点で見ると、スペイン、オランダ、スイスは20位以内ですが、G20には加盟していません。やはり、欧州における大国は独英仏伊で、この4か国で十分ということなのでしょう。もしG10という枠組みであれば、スペインとオーストラリアも入っていたのかもしれません。そして、オランダ、スイスはヨーロッパでは小国のイメージですが、一人当たりの生産性が高いため、経済規模で上位20位以内をキープしています。

一方、韓国も1995年時点から現在に至るまで、世界で第11位の経済規模を維持しています。そしてロシアは世界で第13位で、これも20年間変わっていません。ロシアは世界で大きな影響力を持っていますが、経済力で見れば、アメリカの足元にも及ばず、韓国にすら負けている状況です。国力を軍事力に極振りした結果、世界での影響力を維持していると見るべきなのでしょう。*2

*1:もっとも米ドル換算で比較しているため、もし日本が超円高で1ドル=50円くらいになれば、一気に経済規模は2倍に見えることになります。

*2:これは北朝鮮についても全く同じことが言えると思います。